2004/02/11

ライター仕事2年生

 昔は「印税」と聞いただけで、楽して稼げるおいしいお金のような印象を持っていたが、実際自分で本を書く立場になってみると、とても楽なんてものではなかった(勿論書かせていただけるのはとても有り難い事ですし出版社様にも多大に感謝しております)。一冊書き上げた時にはもうヘトヘト、振り込まれた印税は決してあぶく銭なんかではなく、疲労の末の正当な対価であるということを理解した。

 疲れる原因は、自分がいままでやってきたウェブやイラストの仕事と進行方法やサイクルがかなり違うため、手間取っている部分が多いからだ。文章を書く事自体は好きだったけれど、ライターという仕事はかなり未知の領域。イラストやウェブであれば「このくらいのモノをこの期間で作って○万円くらい」という事が把握できているが、自分の文章にどれだけの金銭的価値があるかなんて判らない。しかも小説でもポエムでもないレクチャー原稿である。「AをBにして、BをCにします」というだけの文章に果たしてどのくらい価値があるのか?「AをCにするとこれこれこうなっちゃうからあまり芳しくなく、一方、AをBにするとこれこれこういう理由でモアベターです」というところまで書けばそれなりに情報的価値がプラスされるということは判るが、そこまで詳しく記述するとページ割に入り切らない…。

 しかし、詳しく書いた方が絶対に判りやすいのに、敢えて割愛するというのも不親切な気がする。どこまでを書いて、どこからを書かないか?もっと簡潔でうまい言い回しはないのか?という点で私はいつも悩む。2chを見ていると、たった1行や2行でものすごく深い内容をビシッと言ってのけている人が多いが、自分は文章でお金をもらっているのに、ああいった小気味よい文はなかなか書けないのだ。情けない(2chを見て情けながっているあたりが一番情けない)。私の原稿は文よりも作例を買われているのだとは諒解しているが、図版だけで解説がなければ伝わらないこともあるし、文章のみの仕事もたまにはあるし、やはり語力が大切だと痛感する。

 もっと慣れてくれば、余裕を持って楽しみながら書けるようになるのだろうとは思う。今年からは頑張ってたくさん本を書こう。自主的に書いてみたい本の企画もあるが、どのくらいのページ数になるのか、どのくらいの期間で書き上げられるのかというのがまだ自分でも掴めていない。細々と書いて、ある程度形ができてから出版社に持ち込んだほうがいいんだろうな。

 初回の印税が手放しでおいしい収入ではないとしても、増刷分の印税はかなり嬉しい。増刷がかかると、自分の書いた内容がきちんと認められたような気分になる。書店の店頭を見る限り、ウェブやCG関連の本は爆発的に多い割に、増刷まで行っているものはあまり多くないような気がする。アプリケーションの操作を中心にしていたり、先端技術を取り上げたりしているものだと、バージョンアップや技術仕様変更によってすぐに内容が古くなり、使い物にならなくなってしまうからだ。しかし、ユーザビリティ関連などアプリケーションに依存しない本や、「Photoshop WOW!ブック」のように、対応バージョンが古くてもまだまだ参考になり、得るものが多い本もある。そういう本を書いてみたいね。

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