2008/02/15

ポリス来日公演レポ

ポリス奇跡の再結成来日公演を見て来ました。アリーナの良いお席をゲットしたお陰で財布に隙間風が吹き込み、毎日カップラーメン生活になりそうですが我が人生に一縷の悔いもありません。だって生涯最初で最後のチャンスっぽいから。

私がポリスを聴き始めたのは、MTVでSynchronicity IIやWrapped Around Your FingerのPVが流れまくっていた80年代中期?で、その後ほどなく彼らは活動休止状態に入っていたような気がします。イベント的な単発復活はあったにせよ、20ン年のあいだ「決して生で見る機会はないバンド」だと思い込んできたのに、いきなり再結成ツアーして来日までするとは…正直、ジミヘンやボンゾが生き返ったよって言われたくらいのカルチャーショックでした。んー、いまだに頭の中が軽いパニックですが、とにかくポリスは3人とも生きてたのが良かった。以下、公演の模様。

<<前座:フィクション・プレイン>>
前座はスティングの息子ジョー・サムナー君がフロントマンをつとめるバンド、フィクション・プレイン。奇しくもポリスと同じスリーピースバンドで、ジョー君がベース兼リードヴォーカルです。わざと真似たわけじゃなくてメンバーチェンジを重ねるうちにこうなったのだとか。
声も唄い方も外見も父ちゃんにそっくりだと前評判で聞いていましたが、音響のせいもあるのかそれほどクリソツには聴こえませんでした。父ちゃんよりも明るく良い人そうなイメージで、MCは全部流暢な日本語で喋ってたりして好感度高いです。
ドラムスの人も非常にパワフルで巧かったです…が、前座ステージが終わってホンモノが出てきちゃったら彼の印象はスポーンとふっとんじゃいました。すいません。

<<メインアクト:ザ・ポリス>>
<Ds&Per:スチュワート・コープランド>
今回のポリスはサポートメンバーなしの純粋なスリーピースで、ファンには嬉しい構成です。スティングとアンディはいかにも「あ〜昔凄かった人なんだな」って感じでしたが、スチュワートは現在進行形で物凄えええええ! 神! ていうか鬼神? 奇人なのは確かでしょうが…。
時に大地を揺るがして獰猛に暴れ、時に高木の枝を揺らしてダンスする、恐竜の足音のように豊かで力強いドラミング。風雨に打たれて唄っているような種々のパーカッションの調べ。若い頃は生で見てないから映像の中の姿としか比較できんけど、年齢を重ねて一段と凄みを増しているのでは?
Every Little Thing She Does Is Magicとかかわいらしいメロディの曲にも鬼のようなキレ味のフレーズ入れてくるし、タメのアクションとかいちいちキモカッコイイし、公演開始から2曲目でスティック真っ二つにへし折ったりとか飛ばし過ぎだしさ! 今はじめて彼を知ったとしても間違いなくファンになってしまいそう。
Wrapped Around Your FingerやWalking in Your FootstepsやKing Of Painでは、ドラムブースと背後のパーカッションブースを行ったり来たり大忙しの大活躍。生きてるうちにこの人を生で見られて良かったと心底感激しました。27年前の来日時、ドラムセットに日本の放送禁止用語が堂々と書かれていた(しかもそれがNHKで放映されてしまった)ことは伝説化しておりますが、今回は流石に書いてなかったです。でも彼のヤバさは鉄板です。

<B&Vo&笛とか: スティング>
スティングはずーっとニヤニヤしながら唄ってて、なんでしょうねこのチョイ悪オヤジはって感じでしたが、前から出回っていたワールドツアーの音源などよりはかなり声が良く出ていたようです。音域的に微妙な部分も、さすがに場数を踏んでるだけあってごまかし方がうまいわな。
そして特に難しいプレイをしてるようには見えないのに、縦横無尽にベースを弾きまくってる凄さは昔のライブ映像と同じ。このベースがステュのドラムスと絡むと、もうね! たまらん地響きの快楽ですよ。
スティング単品だとしょっちゅう来日してたりテレビに出てたりするので有り難みが薄い気もするけど、やっぱりポリスにいるスティングは良い。Don't Stand So Close To Meとかはやけにネチっこくしっとり歌い上げてましたが、ラストのNext To Youでは昔のややパンキッシュなスティングに戻ってました。

<G:アンディ・サマーズ先生>
アンディはすっかり普通のおっさんになっていた…。でもいいんです、私の青春の一部だったんです彼のギターは…。10年くらい前に彼がブルーノート東京で一週間ほど公演した時は、すぐ斜め前の会社に勤めていながら忙しくて一度も行けず辛酸を舐めていた私。今回は間近でお会いしたうえにサインまでいただくことができ、10年間の怨念…じゃなくて悲願を果たすことができました。実物のアンディはフレンドリーで陽気なおっちゃんだったよ。
彼のプレイに昔と同じ切れ味はなく、あのカミソリのように鋭敏でストイックなカッティングも影を潜めていたのが残念ですが、アルバムではキーボードが入ってた部分をギターでカバーしたりと音数多めに弾きまくっていました(そういやシンクロニシティコンサートの映像ではステージの端にキーボードが置いてあったけど、今回はなかったな)。
テレキャスよりもストラトを使った曲が多く、長いソロのある部分はやたらストラトのアーミングぐにぐに多用だった印象が。音数増やすことで緊張感のなさをフォローしてるような…と言いつつもMessage in a BottleのイントロやInvisible Sunのリフを生で聴いたときはうわああああって感動しましたけどね。年齢から来る衰えは確かに隠せないが、あえてサポートギタリストを入れずに1人で弾き切った彼にお礼を言いたい。
ラス前にステュとスティングが引っ込んでから「まだ聴きたい? 時間ないんだけどなあ〜、もう1曲だけやれって?」と一人芝居してくれたアンディはやっぱりいい人。(補足:海外公演の動画見返したら、小芝居の意味がちょっと違ってました。)

アンディももう65歳だし、今やっておかなければ一緒にツアーなんかできなくなるギリギリのところなんだろうな〜と思っていたらこんなニュースが。ま、この手の話は後でコロコロ変わることが多いから信用しないことにしてるんですけど…ステージでの3人があまりにも楽しそうだったので、やはり最後に心残りを無くしてスッキリしたかったのがこのツアーの目的だったのかなと。こちとら20年前にいったん諦めてたことですから静かに受け止めるしかないけどね。

…結局、行かないと一生後悔する気がしたので公演2日目も参加しちゃったよ。ステュが2日ともゴースト・イン・ザ・マシーンのジャケ柄Tシャツを着てたのが妙に嬉しかった。終わってしまったのは残念だけど、本来見られるはずがなかった素晴らしい奇跡、夢のような時間を与えてくれた3人に、本当に本当にありがとう。

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